和菓子作り
営業部製品発送課 鬼瓦権蔵(60代・男性)
以前、私は和菓子職人として、和菓子屋で働いていたことがある。 私が子どもの頃は「手に職を持て」と、親から口癖のように言われ、知人の紹介で和菓子屋に就職することになった。 職人の世界では当たり前のことだが、まずは洗い場からスタートする。そして、材料などの準備を経て、朝生(あさなま)(※)という簡単な和菓子を作らせてもらえる。 私が働く和菓子屋では、今でこそ有名だが、当時では珍しかったブッセのような菓子も作っていた。その係となった時は、毎日毎日ダンボールに入っている卵をひたすら割り続ける作業をしていた。私たちが店頭で購入している卵は1個60g前後。黄身と白身を分けながら、数キロ単位で準備しなくてはいけなかった。毎日、何百個の卵を見て割り続ける訳で、片手で割るなんて朝飯前で、卵を見るのも嫌になるくらいであった。 父へのプレゼントを手作り 「手に職を持つ」とはその通りで、いろいろな物が作れるようになり、義父の定年のお祝いには、ケーキを作り妻と共にデコレ―ションをしてプレゼントする事が出来た。喜んでくれたあの笑顔は、今でも忘れることは出来ない。洋菓子は専門ではなかったが、義父が好きで喜んでもらえるものを…とのセレクトだった。店で買うケーキの方が素晴らしかったかもしれないが、心のこもったケーキは何よりも美味しかったのではないかと思っている。 今は、当時の様に手間暇かけて作る時間はなかなか作れないが、ぜんざいやおしるこなんかは得意分野なので、6月16日の和菓子の日を前に、家族の要望があれば作りたいとは思っている。 ※ 朝生(あさなま)とは その日の朝に作る簡単な和菓子のこと。饅頭や大福、桜餅、柏餅などのことをいう。