読書
原料部資材課 ハンドルネーム ついに50代(50代・男性)
「趣味は読書です」という人は多いと思いますが、私はどちらかというと運動のほうが好きなタイプで、小学校からサッカーに夢中になっていました。母親からは「本を読みなさい!」と毎日のように言われていましたが、読書の楽しさが分かりませんでした。当時、スポーツ根性をテーマにしたテレビ番組が多く、「男子たるものスポーツが出来て当たり前!」という固定観念もあったのかもしれません。 大学受験に失敗して浪人生活を送っていた時、予備校の数学の先生に「“a+b=c+d”は単に“a+bイコールc+d”ではなく“左辺と右辺は等しい”と読み解けば解ける問題もある。つまり、数学も問題文の意味(日本語)を正しく理解しないと、相手の意図が読めないから、正解を導き出せない」と説明されたことがありました。この時、数学と日本語は別のものと考えていた私は、「なるほど!」と納得したことを覚えています。 それから、社会人になっていろいろな経験をし、40歳を超えてからようやく母親や予備校時代の教えであった“日本語を正しく理解し使うことが仕事や人間関係を形成するうえで大切である”ということをつくづく感じるようになりました。
母への想い 山への想い
介護施設で認知症のリハビリを行っていた母親の回復を願い、2019年頃から思い付きで願掛け登山を始めるようになりました。リュックに亡き父とリハビリ中の母親の写真を入れ、山頂で願掛けを行うことで、自分が今まで母親に何もしてこなかったことに対して“言い訳”のような気持ちがあったのかもしれません。 こうして、登山に少しずつ興味を持った私は、山岳ドラマや映画などを通じて、深田久弥の著作『日本百名山』の存在を知ることになりました。日本百名山という言葉自体、汎用的な言葉と思っていましたが、実際に山岳随筆集として存在していたことに驚きました。そして、この著書には、私が過去に登った雄山、薬師岳、大日岳のことや、山の縁起、過去の歴史、地元民の愛情、深田久弥が感じた山の表情の描写などが、作家ならではの感性で書かれています。 母親の願掛けのつもりで始めた登山が趣味となり、その趣味がきっかけで読書とつながりを持つようになりました。その後も少しずつ山岳小説の幅を広げ、『氷壁』『孤高の人』『山女日記』など、読書の幅を広げています。 今年50才を迎えるにあたって、今まで読書の大切さを教えてくださった皆様に感謝し、趣味(登山)と読書がつながりを持ち始めた今、少しずつ「趣味は読書です」と自信をもって言えるように自分を成長させたいと考えています。 まもなく登山シーズンが始まります。コロナ禍で今はなかなか県外の山へはいけませんが、深田久弥が“ふるさとの山”と詠った白山にいずれ登れたらと考えています。その際には、「日本百名山」の白山の章を登山前後で読み返し、約一世紀前に深田久弥氏が感じた山に対する思いに触れてみたいと思います。