日々の仕事や、家の雑事に追われているうちに、ふと気がつくと、あれほど厳しかった今年の冬も、いつの間にか桜のつぼみが和らぐ時節になってきた。「季節の変化に、もっと敏感にならなきゃな〜」と思いながら、この季節になるとやはり気持ちのどこかに、ウキウキした部分があるのは事実だ。 テレビ、新聞などで「花見」のニュースが流れ始めるわけだが、考えて見ると、意外なほど、家族と花見に出かけたという記憶がない。父が「家庭薬配置販売業」、いわゆる「富山のくすり屋さん」をやっていて、年中あまり家にいなかった、という事情もあるが、現在の我が家でも、カミさんや子供たちと「花見」の記憶がない。 私の住む地域には、神社の祭礼に毎年「獅子舞」が出る。祭礼は5月の初めで、桜のほころびと時期を同じくして、獅子舞の練習の笛、太鼓の音が聞こえ始める。平日の夜や休みの日には子供たちの「練習日」になり、学校の入学式や行事と合わせて、子供たちも忙しくなる。なかなか休みを利用して「家族で花見」にはならないわけだ。そんな子供も今は、上がもう高校生、親と一緒に出たがらない年齢になってしまった。 桜の花を見ると、ふと思い出すのは大学の入学式!会場の「武道館」に向かう道すがら、真っ青な空を覆い隠すかのような見事な桜の木の下を歩く私に、誰ともわからないままにカメラを向けたひとがいた。後日、同級生から「大学の学園新聞の1面に、君が写真で出てるよ」と教えられた。この季節の、チョット照れくさい記憶である。