5月10日「日本気象協会設立記念日」
生産管理室 ハンドルネーム エンレイソウ(女性)
5月10日は、日本気象協会設立記念日です。 今は、テレビやラジオで天気予報を見聞きし、傘を持つか判断するだけの関わりですが、大学時代の私は、気象協会から発進される情報に、もっと深く注意を向けていました。それは、登山をしていたからです。私が所属していた登山サークルでは、1泊以上の登山をする場合、必ず天気図を描き天気予報をし、登山の決行・中止を判断するという決まりがあったのです。 天気図とは、日本を中心にした東アジアの地図上に、高気圧や低気圧、等高線が描かれた図面のことです。誰しもテレビや新聞で目にされたことがあると思います。 気分は天気予報士? 天気図は、気象予報士でなくても誰でも描ける事をご存じでしょうか?NHKラジオ第2放送(富山ではAM1035kHz)で毎日16:00〜16:20に「気象通報」という名の番組があります。気象庁が当日12:00の各地・各海域の天気と漁業気象を発表しており、この情報を元に、天気図を起こし、先の天候の動きを読むことができるのです。 石垣島から日本各地、ロシア、韓国、台湾、中国、フィリピン等の観測地点、更に、正午時点で船がいた海上地点の、風向・風力・天気・気圧・温度や、日本周辺海域の気圧団、前線の位置や予想移動域など、多くの情報が発表されます。その情報を元に、白地図に向かい、描き始めます。 天気記号・風向・風力を描き、その脇に気圧をメモ、気団・前線の位置を描き、その予想移動域に矢印や気圧が同じ場所を一本の線にする。 これが想像以上に大変な作業なのです。咄嗟に天気記号が思い出せない、観測地点が地理的に見つからない、聞き漏らした、前線ってどんな線だっけ?など1つでも「?」要素があると、それが重大な情報であるがごとく脳が判断し、手の動きを止めてしまうのです。何年も練習を積まないと、天気図を描くことは難しいとつくづく実感しました。気象通報が終わり、登山サークルの皆で各々描いた天気図を見せ合い天気予報をするのですが、人によって低気圧・高気圧の数と位置が違う、台風が増えている、梅雨なのに梅雨前線が無いなど、一人として合致している事はありませんでした。 天気への興味、再び 大学卒業と同時に、登山への興味は消え、天気図とも気象通報とも無縁になりましたが、ニュースで見聞きする天気予報には少し敏感になりました。例えば、2009年9月、台風17号と18号が接近した際に発現した「藤原の効果」(※1)です。この時、相互作用により複雑な動きをし、台風はフィリピンで数字の「8」の字を描くがごとく停滞・後退を繰り返し、甚大な被害をもたらしました。 レアな天気になると、悪いと思いつつも、天気図に目が奪われ、すこし得した気分になります。「雹(ひょう)」「砂塵嵐(さじんあらし)」「地吹雪」といった気象記号を見ることは、本当に稀なのです。 天気図が描けたところで毒にも薬にもなりませんが、描けると大きな達成感が得られます。今回の月刊OTANIの執筆を機に、また天気への興味が湧いてきたので、機会があれば、天気図を描いてみようかなと思います。 (※1)「藤原の効果」とは、2つの熱帯低気圧が接近した場合、それらが干渉して通常とは異なる進路をとる現象のことである。1921年に当時の中央気象台所長だった藤原咲平が、このような相互作用の存在を提唱したためこの名がある。 (ウィキペディアより参照)