スノボシーズン到来
営業部製品発送課 ハンドルネーム Tさん(30代・男性)
私は昔、雪山を求め歩いていました。 というのは、プロスノーボーダーの専属カメラマンの補助をしていたからです。プロのスノーボーダーといってもいろいろありますが、私がカメラで撮っていたのは、パウダースノーやツリーラン(※1)を滑るプロスノボーダーです。 最初は、働きながら週末に同行していたのですが、長野県の白馬や北海道のニセコ・トマムなどの日本のスキー場から海外のスキー場までとなると、思う様に同行出来ない為、夏場はホテルなどで期間雇用として働き、冬場は居酒屋など時間の融通の利く仕事を職とし、動きやすい状況をつくっていました。当時は、年間200日は山へ行って滑っていたと思います。その中で、春先から立山へ行くことも多くありました。
ニセコスキー場の絶景
補助として入る私たちに、収入はありません。その道を目指したいという思いと、カメラの知識を教わるという目的で同行しているので、ほぼボランティアなのですが、カメラなどの撮影道具は全て自分で用意しなくてはいけませんでした。 自分たちは、このアングルでとか撮り方(固定か移動か)とか、プロカメラマンの指示のもとに動きますが、専属として契約しているプロカメラマンは、DVDの作成にあたっての構成から編集まで全てしなくてはいけない為、補助にはいっている私たちとは、見ているものや見方が、全然違いました。しかし、ただ指示通りという訳ではありません。追い撮りといってスノーボーダーと1メートルの距離を保って魚眼レンズで撮影することもあり、プロの人がどういう動きをするのかを想像し、どういう風に撮った方がいいのか、どのアングルで撮るのがいいのかを常に考えて撮影をするのです。本当に多くの事を勉強させていただきました。
撮影構図を探している時の写真
仕事を通して山の厳しさを痛感 もちろん、同行する為には滑ることができないと、補助の仕事すらできないので、登降できる最低限のスキルは必要になります。北海道出身なので、滑ることの上手い両親に小さい頃から英才教育を受けてきました。当時は、嫌で嫌で仕方がありませんでしたが、この仕事をした時に初めて両親へ感謝することができたように思います。 私は、パウダースノーを求めて山を歩いていたので、スキー場やコース外を滑る人とも、ハーフパイプなどでジャンプする人とも違い、相手にするものがより危険と隣り合わせでもあります。危険なことも結構あるのです。一番怖いのはやはり雪崩。冬山というのは、天候も変わりやすいので、雪崩が起きやすい情報を収集したり確認したりも必要でした。ビバークといって穴を掘って、まる一日過ごしたこともありました。吹雪でガスがかかると、伸ばす手の先が見えず誰がどこにいるかも分からなくなり、方向感覚が鈍ります。平衡感覚もなくなって、自分がゆらゆらゆれて酔っているような感覚になるのです。しかも、山に登る際、撮影機器の他、スノボ道具、宿泊用意、時にはスノーシュー(昔でいうカンジキみたいなもの)やアイゼン(※2)など全部で20kg位を背負って山に登る訳ですから、山の厳しさをより痛感しました。ですが、山の厳しさを知るからこそ、山の楽しみ方も分かるのかもしれません。
Tさんの滑り
今、富山県で妻と出会ったことがきかっけで、就職し今に至ります。妻は、滑りに行って来れば?と言ってくれますが、子供がまだ小さいので、妻に全てを押し付けて自分の趣味の為に動くことは出来ません。妻も自分の自由な時間が欲しいだろうと考えると、ほどほどにしておかないといけないと思っています。家族第一ですから。 富山県も、冬には雪が積もりウインタースポーツが盛んです。息子もいつか、やりたいと言うかもしれませんが、滑ることを楽しんでほしいなと思っています。一緒に滑ることはあっても、自分が教える事はないと思います。遊びなのか、本気なのかを確認し、本気だったら教室に入って学べばよいと思っているからです。 これからウインターシーズン到来です。 皆さんは、雪山を楽しまれますか? ※1:ツリーランとは 木の中の新雪パウダーを堪能すること ※2:アイゼンとは 登山用具で、氷雪上を登降する際に靴底につける滑り止めの金具。
〜Tさん撮影画像〜
(富士山 〜立山から撮影〜) (立山の雄山) (立山 雄山ご来光)