ぬいぐるみ
製造部製鋼課 ハンドルネーム ワールドベア(30代・男性)
百貨店で買い物をしていた時の事。 エスカレーターを昇ってすぐの目に付くところに、ぬいぐるみを取り扱った区画があった。ふと、いつぞや姪の誕生日プレゼントの為の"ぬいぐるみ"探しに苦労したことを思い出した。案外、ぬいぐるみ専門店というものは少ないのである。 一瞬で魅せられた不思議な感覚 その売り場にあったのは、テディベア。アメリカ合衆国大統領セオドア・ルーズベルトの逸話として知られるぬいぐるみだ。化学繊維を使わずに、アルパカなどの毛を使用した全て手作りの一点もの。欧州各国の著名な作り手の作品が、そこにはあった。百貨店の一角に別世界が広がっていた。 通り過ぎようとしたその時、一体のテディベアに目を取られた。表情が愛らしく、指先や口元の細かな作りこみが素晴らしいぬいぐるみだった。 店員は、「今日は、その子が人気です」と言う。その日のぬいぐるみが魅せる表情で、都度、人気が変わるらしいのだ。不思議なものである。 しかし、人を惹きつける何かを、ぬいぐるみは持っているのだろう。私が小学生の頃にも、親にねだって買ってもらったクマのぬいぐるみがあった。なぜ、ぬいぐるみを急にねだったのか…。今思えばとても不思議だが、なんのことはない。ぬいぐるみに魅せられただけのことだ。 この売り場のぬいぐるみ達を見て、今は姪の枕元にある私のクマのぬいぐるみに無性に会いたくなって、売り場を後にした。 そして、思った。この売り場のぬいぐるみたちが、素敵な買い手に会えますように…と。