伏木曳山祭
製造部製鋼課 ハンドルネーム 祭男(10代・男性)
私が住む富山県高岡市伏木には、毎年5月15日に、町を挙げての祭り「伏木神社例大祭・けんかやま」が開催されます。「曳山まつり」と呼ばれる祭りは県内の市町村ごとにありますが、我が町は「けんかやま」の名の通り、「かっちゃ」と呼ばれる山車同士の激しいぶつかり合いが特徴です。 山車に乗る父の背中を見て 子供のころから「けんかやま」を見て育ち、いつかは祭りに参加したい、と長年夢みていました。というのも、私の父が山車に乗って誘導の指示をする「曳子頭」(※)を、しばらくの間務めていたのが大きかったように思います。父の姿をみて、「かっこいいな、将来やってみたい」と子供ながらに思っていました。 高校1年のときに、山車を引っ張る「曳き子」として初めて祭りに参加することになりました。山車を曳きながら全町内を練り歩くのは予想以上に大変でしたが、町の人々の「かっちゃ」への熱意を肌で感じ、観客だった時とは違う感動を覚えました。 初めての先導役に武者震い 昨年、私の夢がついに叶いました。4人いる「曳子頭」役のうちの1人に初めて選ばれたのです。先輩の「準備にもよく顔を出してくれたからその熱意を買った」と言っていただいた言葉は、飛び上がりたいくらい嬉しかったです。事前に「曳子頭」のメンバーでルートを歩き、電線や標識の場所を確認し、内輪差を考えながら誘導の指示の出し方などを打合せました。指示の仕方を一つでも間違えれば、曳き子や沿道の方々のケガにもつながるため、責任重大です。先輩方に教わりながら、一つ一つのことを確実に頭に入れていく作業が続きました。 いよいよ迎えた祭り当日。実際に乗った山車は、とても高く不安定に感じましたが、あれは怖さからくる震えではなく武者震いだったと思います。午前中は「イヤサー、イヤサー」の掛け声を出すのに精いっぱいでしたが、午後からは指示を出すことにも少し慣れました。クライマックスの「かっちゃ」の、体に感じる激震は忘れられません。 「曳子頭」デビュー戦は、もっとこうすればよかったと反省する点もあり、少しほろ苦いものとなりましたが、これからは、町内の皆さんからも、もっと認めてもらえるよう頑張りたいと思っています。 ※「曳子頭」…山車の前後に2人ずつ計4人で乗り、拍子木、笛などで山車の巡行、角回し、かっちゃ時の指示を出す人。