4月13日「喫茶店の日」
技術顧問 明地一男(60代:男性)
喫茶店に初めて行ったのは、いつ頃だったろうか? “未成年者は喫茶店に行かない”との当時の社会通念があったので、未成年の時には喫茶店には行かなかった筈。姉から「友達と街に出て、喫茶店を梯子した」といった話はよく聞かされてはいたが、男性同士でそんな所に行く気は全くなかったし、奥手な私は学生時代に彼女がいなかったこともあり、喫茶店には縁がなかった。 とは言うものの、さすがに社会人になってからは、喫茶店へ行く機会はあった。会社に半休制度ができたので早速利用しようと、平日の午後に、時間潰しの為に一人で行ったのが最初だったと思う。その店で、偶然呼んだ週刊漫画誌で、ある漫画のファンになり愛読書となった。私にとって、漫画を読み、“時間潰し”をすることが喫茶店に行く目的となっていった。 次に行くときの目的は? それから2、3年経ってからだろうか、インベーダーゲームが全国的に大ヒット。画面上で攻撃してくるインベーダーをやっつけるゲームで、私も魅了された一人である。とてもスリリングで、且つなかなかやっつけることができず、何度も喫茶店に通い技術を磨いた。“名古屋撃ち”という裏技を習得し結構なレベルまで上達した。当時はゲームセンターという娯楽場はなく、このゲーム機は喫茶店にしか置いてなかったので、喫茶店へ行く目的は、まさしく“遊び”だった。その後、人生初の彼女ができてからは“デートの場”として喫茶店があった。彼女に腕を上げたインベーダーゲームの技術を見せたかったからかもしれない。 その後、結婚し3人の子供に恵まれた。生活環境がガラリと変わり、娘と行くようになった時期があったり、土木分野で難関と言われる資格試験に挑戦しようと決め“勉強の場”と居座っていた時期があったりした。それから十数年間は喫茶店にいく目的もなくすっかり御無沙汰だったのだが、先日、久々に女房と足を運んでみた。還暦を過ぎ、時間に余裕ができた夫婦二人にとって、喫茶店は“安らぎの場”と変化し、そして今、一番の喫茶店は、“自宅の茶の間”である。社会人の息子と女房が出勤した後、家に残った、米寿を迎えた母と私の2人での珈琲タイム…。通販で探し当てた、とても美味しいドリップコーヒーをじっくり味わって、年老いた母と過ごす至福の時間であり、セルフサービスのこのドリップ珈琲がとても美味しいと感じる今日この頃である。