グルメ探訪
圧延課 ハンドルネーム 星之頭五郎(30代・男性)
『孤独のグルメ』という漫画をご存知だろうか。 井之頭五郎(いのがしら ごろう)という主人公の中年男が、立ち寄った店で食事をする様を描いたグルメ漫画である。毎回、大衆食堂のような店で、ひたすらに独りで食事するシーンと心理描写を綴っているのが特徴だ。ドラマティックな展開はなく、あくまで淡々と物語が進行する。俳優の松重豊さん主演でドラマ化もされており、ファンも多いようだ。 かく言う私も、この漫画の一ファンである。主人公は全くもって平凡な男だが、独りで食事を楽しむ姿に密かに憧れを抱いている。こんな風に私も、ふらっと入った店で独り飯を楽しむ大人の余裕が欲しいものだ。 素材の味を楽しむ 漫画に感化され、昨年くらいから一人で食を楽しみに出かけるようになった。「この店に行こう」と決めずに車を走らせる。「今日は東方面へ」と気ままに出発し、ドライブしがてら気になった店に入る。定食屋やラーメン屋が多い。おしゃれなカフェなどは、興味はないわけではないが、入る勇気がない。なんというか…自分は場違いかなと思って。 その点、定食屋やラーメン屋は居心地がいい。周りを気にせず、マイペースに食事を楽しめる。『孤独のグルメ』に登場する店もこの手の店が多いから影響されているのか。注文するのは決まって、とんかつ定食や生姜焼き定食、チャーシュー麺など、肉メインの料理だ。ソースやドレッシングをかけず、素材の味を楽しむのが私のこだわりだ。同じとんかつでも、店によって肉の柔らかさ、揚げ具合、使っている部位などが違う。調味料をかけると、どうしても調味料の味になってしまい、素材の味を楽しめないから。 食事の後は、その町を散策するのもセット。お腹を満たし、その町のことも知る。我ながら良い時間の使い方だと思っている。 これからも北へ南へ、西へ東へ。貪欲に、でも無理をせず、自分なりのグルメ探訪を楽しみたい。