寒い2月の温(ぬく)いお話
資材課 ハンドルネーム 悩み無用
「お前寂しいやつやのう、結婚したら呼んでくれんのか。ちっとも連絡くれんなー、みんな怒っているぞ。」 ある日、旧友の中の一人から一本の電話がかかってきました。 昨年9月に結婚して、それからの毎日は会社と家庭の往復で、慌しい毎日を過ごしていました。会社での仕事はもちろん、所帯を持てばいろいろ生活に必要な手続きや妻の手伝い、親戚付き合いもしなければなりません。ついつい友達関係がおろそかになっていました。 その電話の時は、若いときの結婚でもないのに、いまさら何を言い出すのかと唐突に感じていましたが、考えてみると小学校からの付き合いのある仲間たちがようやく結婚した私のことを祝い、皆で集まり楽しく話に花を咲かせようということか、と思えてきました。 そして年末12月30日、旧友6人を誘って我が家で焼肉パーティーを開くことになりました。 約束の時間から30分遅れ(新湊時間)でやってきた彼らは、祝福というよりも「冷やかし」がみえみえ。高校を卒業して地元企業に勤めている者、最初に就職した会社を辞め今は東京で働いている者など、様々です。実際会ってみると、それぞれ皆んなが生活を抱え、少しは大人になり、話す内容も昔に比べれば仕事の話が多くなり、やはり昔どおりとは行かないようです。何となくギクシャクした雰囲気で時間が経過していました。 「悩まないことにしている…」 お酒も入ってだいぶんくだけてきた頃、ある一人がもう一人に、こんな質問をしました。 「お前に、悩みはないの?」 聞かれた彼はこう答えました。 「おれ、悩まないことにしている…」といいながら、おいしそうに焼肉をほおばっています。 あまりにアッケラカンとした答えに拍子抜けしたと同時に、今までのギクシャクした場の雰囲気が一転して晴れ、皆が心の中で「こいつらしいな」と感じたはずです。 聞けば彼は今、とある会社の工場長を担当しており、40名の親方になっているそうです。お世辞にも「知性派」とは言いにくく、高校時代は授業中しばしば居眠りして注意されたり、体格が良くおおらかでくよくよしない。長渕剛をこよなく愛し、腕立て伏せが趣味という「自由な」生き方をしていた彼は、なんとなく人々に安堵感を与える雰囲気を持っています。彼が工場長を任されている理由がなんとなく納得できます。 30歳を過ぎ、昔は分らなかったことが少しずつ分るようになってくると、昔反発していたことがつまらなく恥ずかしく思えるようになってくる、人に感謝するという気持ちが大切に思えてくる、そんなことを感じさせてくれる旧友との再会でした。そして、自分も共に働く職場の仲間や、家族に安心感を与えられる、そんな人間に成長することの大切さに気づく良い機会となりました。