父の日に思う
技術部技術課 ハンドルネーム クリーンアスパラ
私の父は、今年還暦を迎えた。ちょっと見た目ではそんな年には見えない「若作り」で、本人もそう思っているらしい。還暦祝いの定番の赤いちゃんちゃんこなどは、最初は着ることに抵抗していたが、真っ赤なベンチウォーマーと一緒に贈ったところ、家族の「似合う、似合う」との賞め言葉に、まんざらでもなさそうで、その後も寒い時にはたまに出して着ているようだ。 私は結婚以来2年間、妻と二人でアパート暮らしだった。親のほうが気を遣ってくれてのことだったが、どうせやがて一緒に暮らすのだからと、最近、実家を建て増しして、2世帯住宅にした。 一緒に暮らすことを誰よりも喜んだのは父で、祖父が他界し、私が結婚してアパートで生活を始めたため、家の中で男が一人だったことがかなり寂しかったらしい。 小さい頃から休みの日には、家族総出で、庭仕事・畑仕事など家の仕事をしたりするのが我が家の家風だった。とにかく「家族みんなで」が好きな父だ。田植えや、車のオイルやタイヤの交換、雪吊りなどの手伝いをやらされたものだ。おかげで家族との仕事を通して、それまで関心の無かったロープの縛り方、庭の樹木や花の名前、田んぼの水量などに対して関心を持つようになっていった。 父の背中にも「年輪」が 引越しは、両親や家族全員で荷物を運び出した。ひさしぶりの「家族みんなで」の風景だ。 父は結構こだわり屋で、引っ越しが一段落した後も私たちが使う方の玄関から見える風景が気に入らないからということで、庭の樹木の植え替えをすることになった。庭の木々を掘り起こし、仮植えしては玄関から何度も庭を見て、「気に入らないなあ」と言ってはまた掘り起こす・・・。すべて終わった頃にはもうすっかり日も落ちていた。 若いと思っている父も、やはり年を重ねてきたことは否めない。一緒に家の仕事をしていると、父の背中にふと「年輪」を感じるときがある。 そんなときに気になるのが、妻のお父さんだ。妻の実家は山形で、妻は2人姉妹の長女だ。結婚を申し出た時、妻の父母からはすぐには返事をもらえなかった。婿を取る予定だったらしい。妻の実家は専業農家なので男の働き手はほしいはずだった。 そんな事情がわかるので、里帰りの際は、長靴、作業着、軍手持参で畑仕事を手伝うようにしている。最近ではトラクターのオイル交換、アスパラの収穫をしてきた。 山形と富山、両方のお父さんへ。家長として家族を引っ張ってきてくれて、ありがとう。はやくお父さんたちに追いついて、安心してもらいたいと思っている。 引越し以来、一緒に暮らし始めると、お酒が大好きな父は、私の帰宅が夕食に間に合うとついつい、いつも以上に飲みすぎてしまう。それで母に怒られるのも「見慣れた光景」になってきた。