写真の不思議なところは、例えば「花」を撮影するとしたら、ほぼ同じ時間に、同じ場所で、同じモチーフ（対象）を同じフレーミング（切り取り方）で撮影したはずなのに、それぞれの写真の出来上がり、表情がちがうことです。一枚一枚が、それぞれに主張があり、個性があるのです。
　季節ごとに目指す草花群をもとめて少し遠出をするのですが、草花は風があると揺れて撮りにくいので、夜中に出かけて車中で仮眠をし、朝7時頃の風の凪いだ時間にファインダーをのぞきます。遠景あり、接写ありと草花と会話するような気持ちで撮っていると時間を忘れます。

　初めてカメラを買ったのは、昭和60年（1985年）、とりあえず撮れればいい、という程度のものを中古で一式買い揃えました。望遠レンズ1本を含む、135mmくらいまでの装備でした。
　当時、海王丸はまだ現役の練習船で、新湊にやってきたときに撮影に出かけました。埠頭に三脚を立てて撮影し、そこそこ気に入ったのを焼いて友人に見せたりして楽しんでいました。

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　ある友人が気に入ってくれ、自分の家に飾りたいというので、新聞紙大くらいに引き伸ばしたところ、友人は喜んでくれたのですが、私はどうも不満なのです。レンズの性能の低さが、写真を大きく引き伸ばすとモロに出でしまって「これはイカン」と2台目を買うことになりました。

カメラの機種もエスカレート

　キャノンの「イオス-55」という機種と、交換レンズも35mm〜135mmをしばらく使っていましたが、これもじきに不満を覚えるようになり、3台目のキャノン「イオス-N1」の中古を買い込みました。当時で新品であれば20数万円したと記憶しています。やがてレンズのコレクションも、マクロレンズ、35〜70mm、135mm、300mm×2本と増えていきました。300mmが2本というのもそれぞれ性能がちがいます。

　わたしは主に自然の草花、紅葉などの景色を撮っていますが、目で見て「いいなあ〜」と思って撮影して、いざ焼いてみると自分の感じていた印象と、まったくちがった表情が写っているので驚かされます。
　今でも忘れられないのは、数年前の春、自宅近くの松川の土手に桜が咲き誇っていました。とても天気が良い昼間で、思わずカメラを持ち出して桜を撮り、現像してみたところ、ある1枚をみて驚きました。桜はちょうど良い感じに写っていたのですが、その背景が真っ暗になっているのです。昼の撮影で、カラーフィルムにもかかわらず、あたかも夜にでも写した写真のように、桜が浮き出ているのです。そしてもう1枚、これは背景が深い青になっていました。こうした偶然はますます私を写真の魅力に駆り立てることになります。

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　志賀高原のニッコウキスゲやリンドウ、滑川のショウブ、平湯の大滝のライトアップ、夢の平のコスモス、古城公園のカタクリなど、季節ごとの材料に事欠くことはありません。またそうした題材を通じて、季節感を感じる事も、楽しみの一つです。
　社内で写真サークルの立ち上げという話がありますが、ぜひこうした楽しみをみんなにも知ってほしいと思います。一緒に撮りましょう。

【会心の一枚】

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