ゴルフに賭ける秋
業務部営業課 ハンドルネーム wind talker
仰ぎ見るとどこまでも続く青い空。目前一面に広がる深緑の芝。鼻をくすぐる草の香り。 ゆっくりと歩いて目当ての場所にティーを刺し、白い小さなボールをのせる。 「(頼むぜぇ。)」 心に呟いて背筋を伸ばし、ねらうべき遥か前方に目当てをつける。 スタンスして一度素振りをしてから、クラブヘッドをボールの横に添えて構える。心の静寂に鳥のさえずりが聞こえる。 ・・・・・・集中・・・・・・・・・! 深呼吸して「(ヨシッ!)」 息を止め、グッと腕に力を入れてクラブを振り上げる!!(この文を読んでいる諸兄からは「だからリキミすぎなんだよ」って笑われそうだが)一気にクラブを振りおろし、恨みもない小さなボールを叩きつける!!! 「カチン!!☆」(って感じかな。) 「あ、あれぇ!」ボールは私の意志とは全く違う、あっちの方向にテン、テン、テン、…。 ゴルフは上流階級のスポーツ。そう決め込んで興味も無く、完全に舐めきっていたこの私。この超メンタルで、全身運動のスポーツに足を踏み入れるなんて、その時は思いもよらなかった。 「営業になったのなら始めなきゃね。」と配置転換になったのも束の間、諸先輩方々の好意で、ゴルフバッグやアイアンセット、ドライバー、パターに、なんとシューズまであっという間に揃ってしまった。 それからは沢山の方々に(時にはお客様にも)教えを乞いながら練習を重ね、未熟ながらもコースにも出て、恥かきベソ掻きで3年が経った。でもなかなかうまくはならない。だからゴルフシーズンになると、ちょっと憂鬱になったりもする。 コースではカートなんてまともに乗ったこともない。笑顔が引きつるキャディーさんを尻目に、自分のスコアを数えながら遥か彼方のグリーンめがけて打っていく。雨が降っても傘を差す暇も無い。ひたすら打って走り続ける。 息を切らしてやっとグリーンに辿りつけば、パットがこれまた難しい。テレビで見るような長い距離を1発で「カコーン!」なんてあり得ない。ありゃあ、プロの成せる技ですよ。プロを真似てしゃがんで狙いはつけるものの、打ってみればボールはカップの手前ウン10cm。「ハイOK、OK! もう、OKでいいよ。次の組が来てるから。」 それでも、ゴルフは楽しい。 でも、落ち込んでる暇は無いほど僕らのパーティー(組)は、みんな賑やかに楽しんでいる。 「も、ちょっとだったねぇ!」「あそこは上手く当てたよ」と話は尽きることがない。 こんなプレーがあってもいいじゃないスか。ゴルフは「〜たら」「〜れば」は禁句だけど、スコアばかりじゃなく1打ごとの一喜一憂がドラマだと思いません? 身に滲みて思うのは、こんな僕に真剣に教えてくれる周りの人の暖かさです。 今でもみんなが「そこはこうだよ」「あそこはこうしなきゃ!」とアドバイスをくれる。なかには「いい手引書があったよ!」とFAXで何十枚もコピーを送ってくれるお客さんまでいるんです!(下手ッピな僕のために感激!!)おかげでデビュー当時より、少しばかりスコアも上向いた。いつかみんなをビックリさせてやる!!と、密かな野心を胸に秘め、休みの日には練習場に通うこの頃だ。