武道で心身鍛錬
技術課 ハンドルネーム 歌鳥風月
私の部屋の隅に、埃を被った木刀が二振り、小太刀が一振りあります。時々素振りをして次の日に私を筋肉痛にしてくれる、これら木刀には私が10年間続けた剣道の思い出が詰まっています。 幼少時代の私は身体が弱く、よく風邪を引いていました。そこで親の勧めで身体を鍛えるために市内で開かれている少年剣道クラブに入りました。私は柔道をやりたかったのですが、お前は弱いのだから得物を持て!と親に説得されました。よく考えると、当然相手も得物を持っているので優劣ないなぁと、後でだまされたことに気づきました。 夏暑く、冬寒い 剣道とは、夏は暑く冬は寒いものです。夏は防具を着けて立っているだけで汗が吹き出てきますし、冬の道場の床は冷たいなんてレベルじゃなく、足の裏の感覚がなくなってしまうくらいです。 当然というか、最初の冬は練習に出るだけで風邪を引いていました。練習に出るのが嫌で一回だけサボったこともありますし、試合に出てもほとんど勝てませんでした。でも辞めるのはなんとなくもったいない気がして続けた結果、小学六年生になるころにはそれなりに身体を強くすることができました。そして小学校卒業のときに講師の方から木刀をいただきました。それを手にしたとき、剣道を続けていた自分がなんとなく誇らしく感じたことを覚えています。 高校最後の練習後、講師から小太刀が せっかくなので中学校でも引き続き剣道部に入部しました。中学校に入ると体格も人並みになり、風邪を引くこともなくなりました。私はそれなりに負けず嫌いだったので、小学校の時のような負けを味わいたくない一心で部活動に励み、練習を一度も休みませんでした。そのおかげか剣道の腕前も上達し、ある大会の個人の部で優勝することができました。そのときの優勝記念品で二振り目の木刀を手にしました。 高校では特にいい成績を残したわけではないですが、小、中、高校と積み上げてきたものに誇りを持って剣道を続けていました。最後の練習が終わった後の道場で、講師の方から三年生に一人ずつ立派なスタンド付の小太刀をいただきました。今でもその小太刀をみると、つらかった練習や最後の試合、そして剣道部のみんなをはっきりと思い出します。 剣道から離れて数年経ち、動きもカンも無くなりましたが、先日久しぶりに木刀で素振りをするとその重さは昔のままでした。