夏、祖父母と行った梨畑
生産管理室 ハンドルネーム アリス in 愛ランド
七月に入り、本格的に夏到来です。この3月まで学生だった私には、やがて夏休みだというこの時期ほどワクワクするときはありませんでした。(もちろん期末テストの時期でもあるわけで、楽しみの前にある苦しみ。世の中はバランスよくできています。) 私にとって夏休みのイメージは、何を置いても我が家の「梨畑」と、そこで汗を噴きだしながら作業をする祖父母の姿です。 小学生の、とりわけ低学年の頃、私の夏休み最大の遊び場は、祖父母と一緒に出かけた梨畑でした。小さい実をつけだした梨の木が整列するそこは、蝉の声の洪水で、夏そのもの。幼い私にとっては、鳥よけの青いネットで覆われ、木の枝が限りなくうねるワンダーランドです。夏休みの絵の宿題に描いたのも梨畑でした。 本人は手伝いのつもりで張り切っていますが、おそらく祖父母にとっては足手まといだったに違いありません。それでもいつも畑に誘ってくれて、私の存在を視野に入れながら、モクモクと作業をしていました。 ゆったり働く祖父母の顔や手は、日焼けして真っ黒。でも、いつも上を向いて仕事をする二人ですから背すじはそこらの若者よりよっぽど真っ直ぐ。ときどき困るのは、上ばかり向いて、下を顧みないのか、祖父がときどき前を閉め忘れること。まっ、しょうがないか…。 土から生まれる真っ白なセミたち 蝉の羽化を見るという貴重な体験もそこでしました。それは早朝よりもっと早い、あけぼのの頃、あちこちで梨の木に這い上がってくるセミたちを見ることが出来ます。土から出てきたばかりの姿は透き通るほど真っ白です。背中を割って反り返りながら羽化するセミはいとおしささえ感じます。梨畑にはカブトムシの幼虫なども、わんさかいました。 と、こうして書いてくると、さも昆虫が大好きなように聞こえるかも知れませんが、白状すると、今は触ることもできません。小さいときは平気なのに、大きくなると虫が触れなくなるのはどうしてなのでしょう。 どうやら今年の夏は暑くなるようですが、毎年「やれ今年は冷夏だ、いや猛暑だ、水不足だ、台風だ」というのを聞くたびに気にかかるのは祖父母が作る梨の出来。学生でなくなった今は夏休みらしい夏休みはもうないけれど、また休みの日には祖父母の手伝いに行けたら、と思います。もちろん邪魔はしない…つもりですよ。