オペラ「ラ・ボエーム」の魅力を語る
圧延課ガイドショップ係 ハンドルネーム オペラビギナー(30代後半・男性)
先日、機会を得て、まさに“芸術の秋”といえるような時間を堪能してきました。9月23日に富山市オーバードホールで上演された、プッチーニの名作オペラ「ラ・ボエーム」を妻と2人で観に行ったのです。 実は私も妻も、オペラを見るのは今回が初めてで、オペラがどういったものか想像できませんでした。ですから、開演前は広いステージを前にドキドキワクワク。パンフレットを見ながら始まるのを今か今かと待ちかまえていました。 ラ・ボエームは青年の群像劇で、男女の悲恋の物語です。あらすじを簡単にご紹介しましょう。 「舞台は1930年代のパリ。アパートの屋根裏部屋に詩人、画家などの4人の芸術家が共同生活を送っている。クリスマスイブの夜、仕事を終えてから合流するという一人残ったロドルフォの元に、同じアパートに住むお針子のミミが部屋の鍵をなくしたと言って訪ねてくる。2人は一目で惹かれあい、鍵を探しながら恋に落ちる。しかしミミが重い病になり、愛だけでは直らないと別れを決意する。そして、友人からなぜ別れることになったかを、ロドルフォが聞き愛するミミのもとを訪れる。しかし、病は進行しミミの体を蝕んでいく。そして、二人は愛にみちた楽しかった日々を語りながらミミが静かに息を引き取る。ロドルフォはミミの名を呼んでその場に泣き崩れるのだった。」(パンフレットから抜粋)
写真提供:(財)富山市民文化事業団
地元のスターたちで華やぐ舞台 韓国の指揮者チョン・ミョンフンをはじめ、世界のトップで活躍するソリスト達とオーディションで選ばれた80名を超える富山市民キャストが共につくりあげるという一日限りのオペラです。本場イタリアのボローニャ歌劇場のセットのスケールに驚かされ、フルオーケストラの演奏に心を奪われました。全編イタリア語ということで、字幕を読むのが少し大変でしたが、壮大なスケールに感動しました。 そして出演者も素晴らしかったです。とくにミミ役のカルメラ・レミージョの豊かな表現と美声には感激しました。ミミの最期のシーンなどは、観客全員が彼女に感情移入してしまうような演技で、隣にいた妻は涙を流してしまうほどでした。 また市民キャストも大変よく、児童合唱の子供たちは、全編イタリア語の歌をとてもきれいに歌い上げていました。助演の皆さんも歌こそ歌いませんが、華やかな衣装に身を包み舞台全体を盛り上げていたのが印象的でした。これが自分と同じ地元の人たちなのだと思うと、なんだか誇らしい気分になりました。 あの日以来、夫婦2人とも“にわかオペラファン”になり、この間のテレビのオペラ特集などもチェックして観るようになりました。秋が深まる今、ぜひオペラ鑑賞をおすすめします。新たな発見に、きっと胸がときめきますよ。