特別寄稿 市民参加型オペラ「ラ・ボエーム」に参加して
平成21年度入社内定者 島倉 希
私は、来年4月から大谷製鉄に入社予定の島倉希と申します。今はまだ大学生で授業等もありますが、残りの学生生活を有意義に過ごすため、何にでも積極的にチャレンジしようという思いを強く抱いています。 そんな中、9月23日に行われた※市民参加型オペラ「ラ・ボエーム」に、出演者として参加しました。私はもともと舞台を観るのは好きでしたが、自分が舞台の上に立つということが想像できず、出演するかどうか最初は迷いました。ですが、大学生活も最後だし、やれることはやってみようと思い、参加を決めました。 私は娼婦の役でした。娼婦自身は歌う場面はなく、逆にソリストの方に抱きしめられながら歌を聴くことができるというとてもおいしい役なのです。なので決まった当初は、「綺麗な衣装が着られそうだし、ラッキー」くらいにしか思っていませんでした。 しかし練習が始まると、そんな気楽なものではないことを思い知りました。演出の先生はとても快活な方で、「あなた!娼婦になって歩いてごらんなさい!そこにいる男を誘惑してみなさい!」とおっしゃるのです。演技をするなんて小学校の学習発表会以来なのに、いきなりそんなことできません。
写真提供:(財)富山市民文化事業団
日々練習で次第に“娼婦らしく”(?) オペラは、私が想像していた以上に難しいものでした。この音楽のときにはこの位置、この音楽のときにはこの動作というふうに、とにかくそれぞれの音楽を覚えなければ何もできないのです。 また、舞台慣れしていない私にとっては、派手な衣装と厚化粧を身にまとって演技することも一苦労でした。スカートが長くてつまずきそうになるし、付け睫毛は重たいし、油断すると口紅が歯に付いて「お歯紅」になってしまうし。この格好に慣れるのでさえ時間がかかりました。 しかし、“娼婦特訓日”が設けられ、日々練習を積み重ねるうちに、私もだんだん娼婦らしく(?)演技出来るようになりました。 本番当日は、会場いっぱいのお客さんに圧倒され緊張しましたが、めいっぱい楽しんで演技することができ、すばらしい達成感を味わうことができました。歌のことはよく分からない私でも、間近で聴くプロの歌声はすばらしく、とても感動的でした。 終わった後、演出の先生に、「あなた、よかったわよ!素質あるんじゃない?…娼婦の!(笑)」と言われたのにはちょっと複雑な思いもしましたが、とってもうれしかったです。 初めてのオペラはとても大変でしたが、それ以上にすばらしい経験になりました。一番よかったのは、素敵な仲間に出会えたことです。毎日の練習が楽しみだったのも仲間がいたからだと思います。 「ラ・ボエーム」が終わってすごく寂しかったのですが、今度出演メンバーで集まり、飲み会を開くことになりました。久しぶりにみんなに会えることが今から楽しみです。