総務課 ハンドルネーム ドクター・コミック(20代前半・男性)
皆さんは普段、漫画を読みますか?全く読まない方もいれば、家族から怒られる程漫画を読むのが好きな方もいると思います。私はというと、後者の“漫画好き”に該当します。はずかしながら、小学生から中学生にかけて図書券で漫画以外の書籍を購入した覚えがなく、母親から「少しは活字を読みなさい」とよく注意されていました。 そんな私がこれまで読んだ漫画の中で、内容的に決してあなどれない、印象に残っている漫画とそれを通して私が感じたことを紹介したいと思います。 それは『ARMS』という漫画です。これは、平成10年に小学館漫画賞を受賞したもので、金属生命体から作られた核を体内に移植された少年の葛藤や成長を描いた物語です。ある日、当たり前の日常が崩壊してしまう、そんな中でも主人公の少年は自分の運命に真っ直ぐ向き合って成長していくのです。 私はこの漫画で描かれているテーマのひとつに「技術の進歩とヒトの心の進歩との乖離」があると思っています。作中にはサイボーグ化された軍人や、遺伝子操作を受けた人間など、技術進歩によって生み出されたヒトが登場します。ですが、その技術を扱う人間のモラルが技術進歩に追いつけず争いが起きる、あるいは改造や遺伝子操作を受けたヒトの心が崩壊してしまいます。 これって「深読み」? この乖離は、現実の世界にも通じるところがあるのではないでしょうか。 どんな技術でも、そのものには善悪など無いと思います。ただ、新たな技術が次々に生み出される一方で、それを扱うヒトの心やモラルが対応しきれない。“クローン技術の扱い”や“代理母出産に関する是非”など、近年話題になっていて、社会で論議を巻き起こしているニュースを見ていると、そんなことをつくづく思ってしまいます。 漫画を読んでいる割には深読みしすぎかなぁ、と自分でも思います。もちろん漫画を読むときに、毎回毎回深読みしているわけではありません。単なる娯楽として読むことの方が多いです。ただ、フィクションである漫画を通して、ノンフィクションである現実社会に対する関心が高まる。そんな体験ができるなんて自分でも驚きました。 たかが漫画、されど漫画。漫画を「深読み」することで、自分の視野が更に広がるかもしれませんよ。少なくとも私にとって漫画は、読むことで息抜きになり、時には物事をより深く考えてみるための大切な存在なのです。