仲間との立山登山
技術部敷設課 ハンドルネーム 幸運クライマー(30代・男性)
10月13日、前日初雪を観測した立山は、その姿に白いベールを纏い、ケーブルカーの搭乗待ちの登山家達を魅了させていた。自分もその一人、愛用のカメラを携え、友人と共に雄山の登頂を目指しに来ていた。立山に来たきっかけは、登山への興味にカメラの趣味が後押しした事と、「立山登山は小学時代以来だ」という周りの友人と意気投合した為である。 前日の立山初雪観測の情報があったためか、この日は弥陀ヶ原の紅葉ハイクの客が多く、室堂から雄山を目指す客は少なかった。というのも、室堂の気温が朝7時時点で−2℃、とても寒い!!また紅葉も室堂より下っていた為、弥陀ヶ原に人気が集中したのだろう。一の越まで続く道は、ほとんど貸切、空は曇り雄山の姿は見えず、愚図ついた感じの空を見上げて、「今日本当に登頂出来るかな?」と不安がよぎる。それでも私達は歩みを止めず、ひたすら前進する。信じるは、今朝の天気予報で見た「立山:曇り時々晴れ」の文字! やがて、ぶ厚い雲が晴れ、日差しが立山の彩りを鮮明に浮き立たせる。雄山がゆっくりと姿を現し、その神々しさに私達は歓喜した。「シャッターチャ〜ンス!」と言わんばかりに、皆自前のカメラのシャッターを切る。今日初めて、ここに来て本当に良かったと思える瞬間だった。 感動倍増は仲間のおかげ 前日の立山初雪観測の情報から、天候の変化や悪路、装備への不安が募り、登山初心者の私一人だったら、恐らく登頂を断念していたと思う。しかし、今回は仲間内で打ち合わせし、皆で決断し、互いに勇気を奮い合い決行した為、単独登山時よりもとても頼もしく、また安心して登頂に臨むことができた。 「一、二、三の越っ♪」とリズムよく登っていき、アタック開始2時間半後には雄山頂上、3003mに到達した。周りは真っ白い山々、ただ圧倒し、見つめるばかりだった。夏に登った時とは違う彩り・匂いに感動したが、何より仲間との登頂は、感動倍増・疲労半分と相乗効果を感じた。喜びを分け合う相手がいることは、とても素晴らしいことだと久しぶりに実感した。 そんな私達を祝福するかのように、空に飛行機雲の「Vサイン」が現れる。それはまさに、私達の今の気持ちを投影しているかのようだった。 「また皆で登ろう」そう思える一日だった。
作者ご本人が撮影 (写真サークル2012年10月度月刊MVP)