風邪に効くレシピ
総務部庶務課 ハンドルネーム キッチン・ドラッガー(60代・男性)
実家の家業や以前の職歴から、身の回りの植物や食べ物に、意外と薬効があることに気づき、関心を持っていました。と言うより、現代に医薬品として化学合成されている医薬品も、そのきっかけは、伝統的に使用されていた植物や動物、鉱物から発見されたことがほとんどと言っていいようです。 その代表的なものが、非ピリン系の解熱鎮痛剤として使用されている「アスピリン」です。西洋では紀元前400年くらい前のギリシャ時代から、ヤナギの樹皮を煮詰めて、熱や痛みを和らげるために用いていた、との記録があります。このヤナギから19世紀に、どんな有効成分があるのかと研究されて、「サリチル酸」が分離された後、改良されて「アスピリン」として販売されました。東洋でも同様で、爪楊枝は、虫歯の痛みを和らげるため、ヤナギの枝をかんだことが始まりという説があるほどです。「木枯らし紋次郎」の長い爪楊枝は、もしかするとヤナギの枝だったのかも知れませんね(若い人は何のことかわからないでしょうね、親御さんに聞いてね。) 身体をしっかりと温めて 風邪の症状の一つに「悪寒」がありますね。ぞくぞくする寒さを感じるときは、体を温める食べ物が有効です。身近にあるものの一つがミカンです。ミカンの皮は、「陳皮(ちんぴ)」という漢方薬の原料で、七味唐辛子の原料の一つです。七味唐辛子の成分は、この陳皮以外に「唐辛子、生姜、山椒、紫蘇」が入っていますが、これらは、血流を良くし、発汗によって熱を発散させて、体調を整える作用があります。暖かいお粥やおうどんに七味唐辛子をかけて食べると、風邪の初期症状であれば、これで治まることがよくあります。ちなみにミカンの皮は、布袋に入れてお風呂に入れても温まりますし、その蒸気は呼吸器の調子も整えてくれるようです。かんきつ類はすべて同じ効用があるようです。ゆず湯の習慣もそうした由縁がありそうですね。 風邪に効く漢方薬の代表のように言われている「葛根湯」は、その名のとおり「葛根(クズの根)」が主原料ですが、その他の葛根湯の成分である桂皮(ケイヒ、ニッキ、シナモン)、大棗(タイソウ、なつめ)、生姜(ショウキョウ、しょうが)などは、すべて体を温める成分です。これらは、風邪の諸症状にもおすすめですよ。また、葛根湯の主成分の一つに麻黄(マオウ)というものが含まれていますが、これは典型的な発汗剤で、気管支を拡張して呼吸を楽にしてくれます。しかし、この主成分は「エフェドリン」(覚せい剤の一種)なので、スポーツ選手が競技前に「葛根湯」を飲むと、ドーピングでアウトになります。ご注意を。 こうした裏づけで、私が風邪の引き始めによくやる対策は、「手作り生姜湯」です。体を温めるために、生姜をおろし金でおろして湯飲みに入れてお湯を注ぎ、そこに刻んだミカンの皮、(多少の飲みにくさを我慢できる人は刻みネギ)、蜂蜜を入れて、よくかき混ぜ、ガーゼで濾して、飲みます。 一般的に「風邪を引いたかな?」と思った時は、いつも以上に、ビタミンC(かんきつ類)・ビタミンA・ベータカロチン(緑黄色野菜)・ビタミンB群(レバー、豚肉など)をバランスよく食べましょう。