6月11日「国立銀行設立の日」
財務経理部 ハンドルネーム 青天をつっつけ(40代・男性)
6月11日が「国立銀行設立の日」だとご存じの方は少ないと思います。1873年(明治6年)のこの日に、日本初の民間銀行である「第一国立銀行」が設立され、日本経済の近代化が力強く動き出しました。設立したのは、「日本資本主義の父」と呼ばれ、今年のNHK大河ドラマの主人公でもあり、2024年から発行される新紙幣で一万円札の顔となる渋沢栄一です。これまで渋沢栄一について深くは知りませんでしたが、これを機会に、その生涯について調べてみることにしました。 渋沢栄一は、1840年に現在の埼玉県深谷市の豪農に生まれ、幼少期から漢籍や和書を学びながら、家業を通じて商売も身に着けていきます。二十代半ばには、国を発展させるため討幕を計画しますが断念し、人脈をたどり、なんと幕府側の一橋家(徳川慶喜)に仕えることになります。3年後にはパリ万国博覧会に派遣されヨーロッパの近代社会を学び、帰国してからは大蔵省で多くの制度改革を成し遂げます。その後、国の経済を成長させるため商工業を発展させたいとの思いから、大蔵省を辞し民間人となります。時代の変革期ということもありますが、現代では考えられないほどの波乱万丈の人生です。 実業界に入ってからは、全国の多くの銀行や東京手形交換所など現在にも繋がる金融システムの構築のほか、鉄道、海運、電力、ガス、保険、ゼネコンなど社会インフラ構築に不可欠な企業500社以上の設立に関わるだけでなく、経済団体、教育機関や医療機関などの立ち上げにも関わり、明治日本の近代化を推し進め日本経済を発展させていきます。当時設立された会社の多くは、現在も日本を代表する企業として存在しており、この時代に築かれた日本経済の基盤が明治以降の近代化だけでなく、戦後復興、高度経済成長の礎になったのは間違いありません。
今だからこそ先人の生き様を辿ろう
現在、世界では新型コロナウイルスの感染拡大、米中新冷戦の幕開け、地球温暖化対策など歴史的に重要な転換点を迎えており、グローバル経済の一部を担う日本も当然経済・外交面で影響を受けることになります。更に、日本は国内問題として少子高齢化をかかえており、かじ取りの難しい時代をむかえています。このような時代だからこそ、明治維新という荒波を乗り越え近代化を成し遂げた渋沢栄一が注目されるのではないでしょうか。江戸幕府、明治政府、民間と仕える先や立場が変わっても、国を豊かにしたいとの志を貫き実現させていった意志の強さや生き方に凄みを感じました。私自身、仕事や社会生活を通して社会の発展に少しでも貢献できるように、自身の役割に責任感を持って取り組んでいきたいと思います。 近代社会の礎を築いた偉人たちの生き方、語る言葉は現代でも色あせることなく当たり前のこととして受け止めることができます。皆さんも歴史上の人物で気になる人がいればその人の生涯を辿ってみてください。