9月28日「パソコン記念日」
情報システム部 ハンドルネーム riverbook(40代・男性)
私が生まれて約1年後の1979年(昭和54年)9月28日、日本電気(NEC)が、PC-8000シリーズ「PC-8001」を発売したこの日が「パソコン記念日」です。「この製品以前にも『パソコン』があるのでは?」と思われた方は鋭いですね。もちろん、これ以前にも国内、海外製のコンピューターが「マイクロコンピューター(マイコン)」と呼ばれていました。しかし、実は「PC=パーソナルコンピューター(パソコン)」という呼称をPC-8000シリーズから初めて使われた事から、いつ頃からかは不明ですが、発売日である9月28日を「パソコン記念日」としているようです。私はこれまで趣味や仕事でノートパソコンや自作パソコンを含めていくつか利用してきましたが、全て紹介できませんので、今回は初めて手にしたパソコンについてご紹介します。
はじめてのパソコンで孤軍奮闘
私が初めて手にしたパソコンは、1994年3月中学校卒業を前に父に買ってもらったNEC 98FELLOW(フェロー)「PC-9801BX2/U2」。中学3年生の時、富山県で初めて学校でのパソコン教育が始まった事から好きになって、どうしても欲しいと思っていました。パソコン本体、ディスプレイ、キーボードがどっしりと鎮座する自室に少し満足していたものの、やる事が見つかりません。電源を入れ「ピポッ!!」という音の後に起動するBASIC(※1)。今思うとOS(※2)が無いパソコンをどう扱うかなんて、初めてのパソコンなのに、かなり難しい事をやっていたもんだと思います。BASICは中学校で基本しか習わなかったので、しばらく放置したままになりました。 やがて高校に入って、友人からもらったゲームをやろうと10数枚のフロッピーディスク(※3)のセットアップが終わって楽しみにしていると、なんと音が出ません。実は初めからこのパソコンにはサウンド機能が無かったのです。頼みに頼んで父に「サウンドボード」を買ってもらいパソコンに増設。それまで色々なゲームを散々やり込んできた自分にとって、正直パソコンから音楽が鳴るだけでも感動しました。 そして今度は100枚くらいのフロッピーディスクを管理するために、初期搭載されていた内蔵ハードディスクドライブを活用しようと、当時では既に新OSのWindows95が話題になる中で、MS-DOS(※4)を購入しインストール。独学でファイル管理についてのノウハウを会得することが出来ました。 ですが、このパソコンのWindowsへのOSアップグレードは断念しました。それは、増設したサウンドボードの他に、256色表示用のグラフィックアクセラレータボード、メモリ、CD-ROMドライブの増設、CPUの高速化が必要不可欠だったのです。当然ながら高校生の私にはその費用が出せる訳が無く、悔しい思いをしました。でもこれがきっかけで、パソコンを自分好みにカスタマイズしたり、自分でパソコンを作れるようになりました。
はじめてのパソコンに心から感謝
社会人になって、インターネット用のパソコンを買い直しましたが「PC-9801BX2/U2」に使えるPC98用のパーツ、ソフトウェアを中古ショップで発見してメモリやMO(※5)ドライブを購入し、MS-DOS専用機として2010年くらいまで時々動かしていましたが、電源の不良により起動しなくなりました。購入した当初は明確な目的も無く、無骨なマシンと感じることがあっても、使い慣れて基本を学ばせてもらった愛着のあるこのパソコンに心から感謝しました。また、当時から動かしていたPC98のソフトは仮想(※6)マシンでたまに動かして懐かしんだりしています。 2021年現在、パソコンがスマートフォンの台頭によって、固定電話と同じく、我々が生活する上での必須ツールでは無くなりました。ですが、どんな形になろうとも色々な時代を支える役割を担うツールとしてこれからも存在し続けることと思います。皆さんがいつも大切に使っているパソコンにはどんな思い出がありますか?
※1 BASIC(ベーシック) 1964年に登場したプログラミング言語のひとつ ※2 OS(オペレーティングシステム) システム全体を管理し、さまざまなアプリケーション ソフトを動かすための最も基本的なソフトウェア ※3 フロッピーディスク パソコンのデータを保存、管理するための磁気メディアの ひとつ。FDと呼ばれる。筆者が利用したFDは1枚あたりの 保存容量は1.25MB。CDが媒体として出回る前、FD15枚組の ソフトも不思議では無かった。 ※4 MS-DOS(エムエスドス) パソコンの基本機能を司るOSのひとつ。 後継となるWindowsは元々MS-DOSが持つ色々な命令を 視覚的、直感的に分かりやすくし、効率良く利用しやすく したもの。 ※5 MO(エムオー) magneto-optical disk 光磁気ディスク媒体。1985年から 採用されて 2000年代で規格が消滅した。 非常に耐久性能が高いメディアで、読み書きするドライブ が先に寿命が来るのではとも言われる。 筆者が使っていたメディアの記録容量は1枚230、640MBの 2種類。 ※6 仮想 Windows10の機能の一つ。一つのマシンのOS上に、もう一つ マシンをソフト化(仮想化)して表示させる機能。 筆者は「PC9801-BX2/U2」で使っていたデータを動かす 為に、現在使用しているWindows10マシンに、MS-DOS マシンをソフト化して起動している。