特別寄稿
第8回「OTANI PRESENTS ふれ逢いステーション」に出演して
「トミー松浦クインテット」 リーダー、ギター トミー松浦
今回初めて「OTANIふれ逢いステーション」に参加しました。なんと応募数が3,000人を越えた、と聞いて驚きました。1,200の座席が満席で、ミュージシャンたちといっしょに音楽を楽しみたい、とのお客様の思いがステージの私たちにまで伝わってきました。 自分の中からにじみ出る音 私は音楽活動を始めて、もう40年近くになります。‘71年にプロ入りし、多くの一流ジャズ・ミュージシャンたちと共演したり、1984年には単身ニューヨークに渡り、自己のギタートリオでも活動したりしました。また、1996年、97年とニューヨークでレコーディングをした時は、3リズム(ピアノ、ベース、ドラム)をオーディションで選び、一週間スタジオを借り切ってリハーサルをして臨みました。私以外は全員黒人ミュージシャンでした。とても素晴しい経験でした。今思うと、その後の私の音楽の方向性を変える一つのターニング・ポイントだったような気がします。 その時一番感じたのは、彼等はごく自然に演奏しているのですが、それが実に絵になっているのです。要するにカッコ良いのです。彼等のアイデンティティーがそのまま音になっている、と正直思いました。私がオリジナルを作ったり、カバー曲を演奏したりするとき、アレンジに時間を費やすのは、ごく自然に私の血の中や吐く息の中から出て来る音でありたいから…。 自分の音楽を自問自答 “音楽に国境は無い”と言いますが、果たして自分の音楽はどうなのだろう?と良く自問自答します。インプロヴィゼーション(即興演奏)することは大好きですが、それは、音楽の知識と技術をもってその人の全て(精神、思想、哲学、喜怒哀楽、美意識、etc.)を品格というオブラートに包んでドラマティックに表現することだと思っています。それと今までにありそうで無かったギター・サウンドの世界を創り上げる事。この2つをこれからのテーマとして精進していきたいと思っています。 今回このイベントを通じて多くのお客様にふれ逢えた事を大変嬉しく思います。アンケートではたくさんのコメントを頂き、何よりの励みになりました。本当にありがとうございました。