写真サークル 今月のM.V.P.
写真サークル事務局
今月は、いつもの月例会と趣を変えて、共通のモチーフで撮影会を催しました。角度や照明の当て方、絞りやカメラの種々の設定を変えたりして、どのような表情が出てくるか、また、どういう意図を持ってシャッターを押すか、ということを試みようというわけです。 モチーフにしたのは、会員が用意した抹茶茶碗と、民芸風の花器です。 いわゆる商品写真的撮影もありますが、会員は、それぞれの意図を持って、アングルや絞りを工夫して望みました。 参加会員の総意で選ばれたMVP作品2点をご覧下さい。 MVP(Most Valuable Photo)中村俊佐
講評:まず、写真は何よりもピントが合っている事が最低条件。この写真は茶碗の肌にしっかりとピントが合っており、また絞りが、茶碗の貫入(表面の細かいヒビ割れ)の質感を表わすのにちょうど良い加減に合っています。少し逆光気味にもかかわらず、適切な絞りになっています。 フレーミングも、必要なものをちゃんと含みながら、余分なものも入れていなくて、撮影意図が明確に伝わってきます。照明の当て方は同じ(全員がいろいろな角度で同時に撮影している)でも、この撮影者の切り取り方に、その意図が表れるものです。 作品の中には、茶碗と花器を放して撮影しているものがありましたが、そうすると、被写体が分離してしまい、特別の意図がない限り、作品的には分散的な印象になってしまいます。この作品はそういう意味で、一体感があり、背景のぼかし方も適当にボケていて、被写体が浮き上がっています。 写真全体にドラマを感じ、生活感を感じます。
準MVP 竹田香織
講評:被写体2点と後ろの観葉植物、テーブルの縁のラインなど、画面全体の中でのレイアウトのバランスが大変いいと思います。上から見下ろす角度によって、茶碗の見込みや、花器の口回りが良くわかり、「器の美」を感じます。茶碗の肌や花器の陰の部分の肌の感じも、良く写っていて、絞りの加減が大変適切です。夜の居間のひっそりとしたテーブルの雰囲気が出ていて、ある種のストーリー性を感じます。大変雰囲気のあるいい写真だと思います。