特別寄稿
第11回OTANI ふれ逢いステーション出演
パーカッショニスト ヤマダベン
言葉にも息づかいにも、リズムは流れ、動きの中にも音は生まれる。ありとあらゆる所から音は聴こえるけれど、もしかして聴こえないものまでも伝えたくて、拾い集めて音にしているのかもしれない。 私にとって音楽はまさにコミュニケーション。曲という約束がある場合でも、そこに交わされる音は会話であり、当然行き違いや、合わない事もある。しかしお互いを信頼するという気持ちが、その距離を縮めてくれる。 それは自分への信頼も同じで、不安や疑問を感じながら出す音は、相手にも届かないし伝わらない。その瞬間にある自分を、素直に精一杯表わしていきたい、これがむつかしい。今の自分の姿を、明確に知る必要がある、とても難しい。 楽器は、それこそ器なのだと思う。自分を器にのせて届ける。おいしければ喜ばれる。喜んでもらうために、日々研究する。 もう10年も前になるかもしれない。ある料理人と、こんな話をした。「料理は食べる人に合わせて、一皿ずつ作れるが、音楽ってのは、同じ料理で、その場の人全部に満足してもらう様なものだから、たいへんだ。」なるほど そんなものなのかもしれないと感じた。 ここ最近、私のテーマは『調和と集中・ハーモニー&フォーカス』。これはある日見た、ある映画のセリフではあるが、とても心に響いた。今取り組んでいる 3月13日公演の、ダンス・ライフ・フェスティバル(オーバード・ホール主催)の作品「ドロップス」(*)でも、これが表現できたら嬉しい。 今こうして舞台を続けられるのも、身内を含め、支えてくれる周りの方々、そしてそのまた周りの方々のおかげだと思っている。 とてもたくさんの力と恩恵に感謝している。 「どこかの樹の葉からの一滴も私の中には流れている。」こんな想いも音となり、皆様に届けることができたなら、そして、また逢いたい、と感じていただけたなら私にとっても大きな喜びです。 ありがとうございます。
*「ドロップス」 3月13日、StopGAPダンスカンパニーの作品上演前にオープニングを飾るのは、小学4年生から中学2年生までの子供たちによる作品-「Drops」。2008年11月から5ヶ月間のワークショップを重ねて生まれました。メンバーのほとんどはダンス経験の無いこども達、型にとらわれないダンスを心で感じてください。(ヤマダベンさんはこの作品で、音楽構成をされています。) Dance Life Festival 2008 in TOYAMAの公式サイトはこちら