特別寄稿 第11回「OTANI PRESENTS ふれ逢いステーション」に出演してA
サックス&フルート奏者 川嶋哲郎
4月18日に開催された「ふれ逢いステーション」に出演させて頂き、誠にありがとうございました。 私は第四回目に続き、今回が二度目の出演となります。待ちに待った故郷富山での演奏でした。そして今回は記念コンサートということもあり、今までよりも大きなホールでの演奏でしたが、総席数2,200、五階席まである大ホールも超満員となり、よりたくさんの方々に演奏を聴いていただくことが出来て本当に感謝しています。 今回は私のアルバム「Passion of Asia」の中から演奏しました。メンバーの箏演奏家、竹澤悦子さんはお隣の石川県七尾市出身。富山在住のパーカッショニスト、ヤマダ・ベン氏にも加わっていただき、北陸人どうしならではの情念溢れる素晴らしいコミュニケーションを実現出来たと思います。音楽的に新たな発見もたくさんあり、心から楽しく充実した一時を過ごすことが出来ました。 今こうして子供のころから夢見ていた音楽家の道を歩んで行けるのは、熱心に応援していただける故郷富山のファンの方々のおかげです。そしてまた、この自分に与えられた恵まれた状況に甘んじることなく、これからも音楽家の道をひたすら歩み続けようと思います。 恵まれた富山の芸術創造環境 私は常々音楽家としてやらなければいけないことは、大きく分けて二つあると感じています。 一つは、多くの人々に音楽の素晴らしさを伝えること。今回のような素晴らしいコンサートに参加させていただけたことは、そのために最も大切な出来事です。他にも日本各地での日々の演奏、アメリカ、ヨーロッパなどの海外公演、その他後輩演奏家の指導や、雑誌への寄稿など日々の活動を通して、これからも音楽の素晴らしさを少しでも多くの人々に伝えられるように、努力して行きたいと思います。 しかしそのためには、先ず私自身が音楽の本当の素晴らしさを知らなければいけません。これが二つめです。 つまり、演奏家、音楽家として音楽そのものと向き合うためには、地道に努力するための環境が必要なのです。私にとっての故郷富山は、いつも一人の人間としての自分に出会うことの出来る最も大切な場所です。時間がある時には帰郷して「富山芸術創造センター」などで練習したり、地元演奏家と演奏したりしています。 富山にはこのように自分自身を深めるために必要な、素晴らしい環境があります。富山の方々に是非この素晴らしさを再認識していただけたら、と思います。
川嶋哲郎氏(テナーサックス、フルート) 1966年富山県生まれ。高校時代にテナーサックスを始め、大学在学中にジャズに目覚める。27歳でプロ入りし、原朋直・大坂昌彦クインッテット参加をはじめ、日野皓正(tp) 大西順子(pf)他、多数のグループやプロジェクト、レコーディングに参加。club tokoでは日野元彦氏(ds)亡き後リーダーを務める等、テナー奏者、ジャズミュージシャンとしての地位を築く。近年では自己のカルテット、TMDをはじめ、全国各地で様々なミュージシャンとのセッション活動も精力的に行っており、演奏楽器もフルート、ピッコロ、バスクラ他等、多岐に渡る。富山が世界に誇る、日本ジャズ界を代表する奏者と云っても過言でない。 川嶋哲郎氏 公式ホームページ http://tetsudas.com/