コレに注目!
協力会社 ハンドルネーム 輪上カメラマン(40代・男性)
私はブラジルで生まれ育った。ブラジルでは、家から学校までの距離はとても長く、歩いての登下校は無理。そこで役立つのが自転車だ。小学校高学年の頃は、使い物にならなくなって捨てられた自転車を拾ってきて、パーツを寄せ集めて作り直して乗りまわしていた。ブラジルでは、わりと普通のことだった。 日本へやってきて20年。自転車は日常的に乗っていた。ふと2年前、私は何を思ったか、自転車で金沢に行って見ようと思いついた。 「自転車で金沢?!無理やちゃ、無理、無理!」 仕事の休憩中、仕事仲間にその話をすると、皆がいっせいに笑った。 「本当に行くのなら、証明する写真を撮って来てよ」 どうやら、皆本気にしていないようだった。それほど特別な覚悟をすることなく、自転車で金沢へ行って帰ってきた。往復で3〜4時間くらいかかった。もちろん行った記念に写真も撮って帰って、仲間たちに写真を見せると、皆んな目を丸くして驚いた。 私自身も自信がついた。ここから私の“自転車ライフ”が始まる。 愛車は3台 行き先に合わせ これをきっかけにして本格的に自転車を始めたいと思い、3種類の自転車を買った。よく見かけるクロスバイク、タイヤが丈夫でクッション性の高いマウンテンバイク、遠距離を走るロードバイクの3つだ(下図参照)。行き先や、道中のコンディションによって使い分けている。 続々と新しいモデルや性能の良い部品が紹介されると、どうしても欲しくなる。実際、例えば性能の良いタイヤに取り替えると、その分だけいい走りができる。今では私のお小遣いのほとんどが自転車用品代に消えている気がする(笑) さて、それからはさらに遠くまで足を運ぶようになった。能登、千里浜、飛騨高山(山を自転車で越えた)など。往復140〜180kmくらいの移動距離が多い。私の場合、観光がメインではないので、2連休ではない限り泊りがけでは行かず、自転車で目的地に着いたら、証明写真を撮って、そそくさと帰ってくる。よく人からは、「もったいない」といわれるが。
輪上カメラマンさんの自転車。 左から、クロスバイク、マウンテンバイク、ロードバイク。
松本市まで150Kmに挑戦 一番大変だった旅を紹介しよう。 それは、今年の5月に長野県松本市を目指した旅だった。自宅から松本市までは、約150km、しかも途中には標高1700mの山を超えなければならない。 朝7時に家を出て国道41号線を真っ直ぐ走り、途中471号線と交わる地点で左折。それからどんどんと山道に入っていくが、その日は天候もよく、遠方に立山連峰を眺めながらの旅で、実に気持ちが良かった。しかし、「平湯」という地点(自宅から約60km地点、午後2時到着)までやってきたときに、雲行きが怪しくなった。松本市へはそこから山を越えなくてはならないので悪路での走行を覚悟したが、なんと積雪のため通行止めになっていた。道がないのでは、残念だが断念せざるをえなかった。 平湯は温泉の名所。その日は温泉宿に1泊し、翌朝富山へ引き返そうと、41号線まで戻ってきたところで、 「休みまでとってきているのに、このままでは帰れない!」 と思い直し、その足で飛騨高山を目指した。また何十kmも走って無事高山に到着。晴天が気持ちよかった。 自転車の旅をするときに、いつも肝に銘じていることがある。それは、「無理をしないこと」「ルールを守ること」「仕事に支障をきたさないこと」だ。いくら目標達成のためでも、自分や周りに危険が及んだり、マナー違反をして迷惑をかけていては本末転倒だ。 自転車で何十、何百kmも走ると、本当に辛いときもある。けれど、それを乗り越えたときの達成感は計り知れないものがあるし、自分の自信につながる。まさか、自分がここまで自転車にのめり込むとは思いもしなかったが、これからも「自転車ライフ」は継続していきたいと思う。