11月23日「いいふみの日」
研究開発部鉄鋼技術課 ハンドルネーム 太田っこ(女性)
11月23日は“いいふみの日”。郵政省が1979年に定めたもので「手紙の楽しさ、手紙を受け取るうれしさを通じ、文学文化を継承する一助となるように」との思いが込められているそうです。 手紙を題材にすると、やはり比較対象はデジタル技術になるのですが、これがまた子育て世代にとって本当に便利になりました。メモも、スケジュールも、チェックリストも写真も…様々なものが共有できるようになり、特に、子供の写真を親族だけで共有してSNSのようにコメントをつけることができたり、定期的にアルバム本やムービーを作成してくれるアプリは素晴らしいサービスです。寝る前に子供が望めばテレビ電話で祖父母の顔を見て話すこともできて、遠く離れた家族と「時間と空間の隔たり」をすっかり解消できました。 しかしその簡便さから、1枚の写真や伝えたいひと言の印象というのは軽くなっているように感じます。なんというか、その時だけのものになって後から大切なものとして思い出すことは少なくなるような。それは普段からすぐそばにその人がいるように感じることができるからなのかもしれませんが、筆跡からその人のぬくもりを感じて、ほっこりと心が満たされることはデジタルではなかなかないように思います。 そう考えるとやっぱり手紙って好きです。 義母が段ボールにミカンを詰めてそっと添えてくれた縦便箋。 小学校からの友人が送ってくれた光とメロディ付きのクリスマスカード。 年賀状にそっと添えられた励ましや気遣いの言葉。 お世話になった方に送った、何度も何度も書き直しを重ねた跡の残る感謝の手紙。 はがきに収まるのは今だけと、子の手形を押して送った祖母への暑中見舞い。
手書きの言葉 ギュッと込められた思いやり
ラブレターの思い出がないことが残念ではありますが、あの人の年賀状の何気ないメッセージを読んでうれしかった気持ちだとか、季節の便箋のデザインの良さ、送った手紙にとても喜んでもらったことなどを何年経っても思い出すことができるということは、手書きで綴る言葉には心にぬくもりを残す力があるのだと思います。手紙という限られた情報量の中に相手のことを思って言葉を選ぶ時間だとか、添える写真を厳選する手間だとかがギュッと封筒に詰め込まれていて、受け取ったほうも送ったほうもそれを手に取って相手を思いやった時間がかけがえのないものになっているのかもしれません。 11月は秋から冬に移り変わる季節。心もあたたかさが恋しくなることがあるかもしれません。人との直接的な距離をなかなか近づけることができない状況だからこそ、あえてめんどうくさい方法で言葉を送ってみてはいかがでしょうか。